有機物循環農法

私たちは農機具の開発・製造・販売を通じて、日本の農業の在り方を見つめ続けてきました。その代表的な例が、「土づくり」へのこだわりです。作物をつくるための基盤である土と、その土を耕す農機具の切っても切れない関係を農業経営に携わる全ての皆さんに再認識して頂き、化学的な土壌改良に頼らず、健全な作物を育成、増収や安定収入の道を歩んでほしいという重要なテーマを持って、この事業に取り組んでいます。

有機物循環農法とは?

私たちが毎日口にしている新鮮な農作物。これは農作業の現場に携わる多くの方々の努力の賜物であることに違いありません。しかし、ご存知のように作物は人間の力のみで育つ訳ではありません。太陽の光と適度な雨、ほ場を渡る風、そして土の中の生態環境が整ってはじめて良質の作物が育つのです。

私たち人間は、あるとき化学肥料や農薬を手に入れました。化学肥料は作物が必要とする養分を全て供給し、農薬は作物に害をなす虫を駆除し、永続的に高品位の作物が収穫できるはずでした。

でもそうはなりませんでした。

最初は良い作物が採れるように思えた田畑も、徐々に品質が落ち、収量も減りました。トンボやメダカなどの小さな生き物の姿も見ることがなくなりました。

「なにかがおかしい」

そう、私たちは“土”が、岩石の風化物にすぎないはずの土が、実は大きな秘密を持っていることに気付いていなかったのです。

作物が健やかに育つには、通気・通水性に富む根圏、それに微生物の助けが必要だったのです。

有機物循環農法とは、近年の浅耕による根圏の縮小と土の過粉砕により破壊された土壌物性を回復させ、良好な土中環境の維持を可能にし、作物が本来持つ生命力を回復させることで、化学資材の絶対投入量を削減、環境に優しく、低コストで永続的な農業を可能にする農法です。

有機物循環農法の実際

作物の地上部(Top )と地下部(Root)の乾物量の比率をTR比といいます。

TR比は地力を生物反応的にトータルで判断するときの指標になります。

収量の絶対値が大であることはもちろん必要ですが、TR比が大きい(地上部に比べ地下部が小さい)と作物は不健全であるといわれます。根が伸びられないのにチッソを多量に施用すると、徒長して倒伏しやすかったり、子実に栄養がまわらなかったり、病害に弱かったりします。地下部(R)すなわち、根が伸び伸びと発達すると作物は健全な育成をし、増収や安定収量を約束してくれます。

このために、プラウで有機物を太陽熱・空気などといっしょに深く鋤き込むのです。やがてそれらが腐植し、微生物の活動の場を増やします。そしてサブソイラやプラソイラは、さらに深く土を膨軟にします。

「耕地は資源なり」収奪した実より多くの有機物を土の中へ戻すことです。この循環農法と根域拡大こそ、永続的農業を営む基本です。